度々と巷を騒がせるビットコインの分裂問題。これが提起されている時期はニュースも騒がしくなります。さて、ビットコインの分裂やそれに深く関連するハードフォークとうキーワード。これは何なのでしょうか。
まず仮想通貨の分裂やハードフォークについて理解するためには、先にブロックチェーンの知識が必要不可欠になります。
ブロックチェーンについては簡単に記述しますので、詳しい内容はこちらで確認してみてください。
→ブロックチェーンとは
ブロックチェーンを簡単に理解しよう
ビットコイン(又は全ての仮想通貨)は、中央管理者(銀行など)を置くことなく取引台帳(引出や振込などの記録)を不正なく、間違うこともなく作成する技術を根幹として稼働しています。
この取引台帳を仮想通貨の世界ではブロックと呼びます。ブロックの単位は1MBであり、この中に一定数の取引が記録されていく仕組みなっています。
さて、次々と作成されていくブロックですが、沢山のブロックがただインターネットを漂っているだけでは整合性が保たれません。正規の取引じゃなくて、誰かが改ざんした嘘の取引が混じったブロックもあるかも知れません。
このブロックとブロックを正しく繋ぐ仕組みのことをチェーンと呼称し、この一連の技術をブロックチェーンといいます。
正しいブロック同士でないとチェーンは繋がらない仕組みなっているので、嘘の取引が混じることは難しくなっています。
ハードフォークとは何か
ハードフォークを直訳すると
- ハード ハードウェア(hardware)、技術面の、機械そのもの。
- フォーク (fork)、分岐。
となっており、そのまま読むとハードウェアの分岐になります。仮想通貨におけるハードフォークとはまさにこの読みの通りの事が起こることを指し、ビットコインから分裂した全く新しいビットコインが生まれる事象をハードフォークと言います。
厳密に、新しく生まれた「全く新しいビットコイン」とはビットコインではなく、数多くのアルトコインの1種に分類されます。ビットコインの分裂に関してはすでに過去3件、起こっています。
- 2017年8月1日、ビットコインの分裂により新しくビットコインキャッシュが生まれました。
- 2017年10月24日、同じくビットコインの分裂により新しくビットコインゴールドが生まれました。
- 2017年11月25日、同じくビットコインの分裂により新しくビットコインダイヤモンドが生まれました。
ハードフォークが起こるとシステムにどのような影響を与えるのか
まずハードフォークが起こりビットコインが分裂してしまうと、そのブロックチェーンは今後交わって繋がっていく事はなくなります。お互いに使っているシステムが全く違うためです。
元々のビットコインのシステムを採用していた人達はそのまま残り、既存のブロックチェーンを繋げていきます。新しく誕生したビットコインのシステムを採用した人達と、それに賛同する新しい参加者たちは、誕生した新しいブロックチェーンを繋げていくために、元々は同じブロックチェーン上にあったものが完全に分裂し、独立してブロックチェーンを繋げていきます。
採掘者とは、簡単に説明すると、仮想通貨の世界でブロックチェーンを繋げる処理を担う人達のことを指します。その実態は多くのパソコンの集合体になります。
ハードフォークはなぜ起こるのか
ハードフォークとは、決してビットコインのシステムに何か問題があって自然に分裂しているわけではありません。ハードフォークが起こる理由、それはつまり、ビットコインの開発者達が人為的に、故意に起こしているのです。
なぜ、わざとビットコインを分裂させるような事をするのでしょうか。
システム開発に対して意見が合わず、合意出来なかったから
仮想通貨システムのソースコードは、公開されているオープンソースであり、開発に参加してより良いものに作り替えていきます。ビットコインの開発者には、ビットコインのコミュニティのようなものがある、そこで意見を交換して、新しいシステムの仕様を提案し(この改善提案をBIPと言います。)多数決によってビットコインの方向性を決めていきます。
結果、意見が完全に対立し、それなら全く新しいシステムを作ってやる!といって分裂していく事が、そのままハードフォークが起こる事となります。
新しいコインを作った人は、儲かるから
仮想通貨の一番において、その価値や価格を決定する重要な要素のうちに、コミュニティの結成によるものがあります。通貨や金などは実物が存在するのでそれ自体に価値があるように思われますが、実はそうではありません。通貨や金に、人々の需要があるため(それが貴重であると知っていて、欲しいと考えるため)価値が生まれるのです。
通貨や金は実物があり、触れることが出来るため分かりやすいですが、仮想通貨は実物がありません。仮想通貨とは暗号によって作られた仮想によるものです。そうなのですが、人々が何かのものに価値を与えるということに関しては、実物と同様に、仮想のものに対しても同じ法則が働きかけます。
1ビットコインを200万円で欲しい。210万円でも欲しい。という声(コミュニティ)が形成されれば、それは実際にその価値を持つのです。
さて、ハードフォークにより新興の仮想通貨を作った人にとって、新しいビットコイン(以後、新アルトコインと呼びます)は、まだ大した価値を持っていません。しかし、これから人々に周知させ、興味を引くことにより新たなる新アルトコインのコミュニティを生成すれば、その価値は何十倍にも跳ね上がるでしょう。
そこに達したところで、新アルトコインの創設者はその持ち分を売却してしまえば、一瞬にして億万長者になれることでしょう。特に、ビットコインは仮想通貨の中でも最大規模のコミュニティを持つので、そこから分裂するということは、その新アルトコインを新しく周知させることも、興味をひくことも容易とさせます。
だからシンプルに、儲けられるチャンスがあるという事が、新しいハードフォークが頻繁に起こってしまう要因になっています。
ハードフォークが起こると、ビットコイン相場の価値はどう変動するのか
ハードフォークが発生すると、一時的ではありますが、それが安定するまではブロックチェーンが分かれるというリスクは存在します。特に資金を送金したりする時や、取引所がそのハードフォークに対してどのように対応するかなど、多少といえど混乱が起こる場合はあるでしょう。
ハードフォークの相場への影響はどうなのか?
ハードフォークは仮想通貨が文字通り分裂し、採掘者も分裂することになります。それが各仮想通貨に与える影響や、折込みが混じってくる相場への期待や不安などが大きく相場を動かすこともあります。
例えば一時期、SegWit2x計画によるハードフォークについて、この前後はビットコインの相場を大きく揺らがせました。結果的にいうと計画は無期限延期になったのですが、これによりビットコインの値段は一時的に過去最高値に達します。その後は一度大きく下落して、また徐々に値を回復させ安定したという経歴があります。